グローバリゼーションの中、英語版くすりのしおりを活用した学習成果型の授業は医療現場ですぐに利用でき、実践的です。
今回は、当協議会の個人会員である 横浜薬科大学准教授 大塚 邦子氏より、大学教育でのくすりのしおりの活用についてご紹介いただきます。
 
 
 

”英語版くすりのしおり”を活用した臨床系薬学英語教育と医療者への生涯教育
横浜薬科大学 感染予防学研究室 大塚 邦子

社会全体がグローバル化する中、外国人患者に対しても日本人と同様に医薬品の有効性・安全性・品質に関する明確な情報を提供し、医薬品の適正使用を推進できる薬剤師の育成が求められています。
そのため、学部教育における実践的な薬学英語教育が緊急に必要とされています。

薬学部における英語教育は、新コアカリキュラムの薬学準備教育ガイドラインならびに薬学アドバンスト教育ガイドラインに従って行われています。
1.実用薬学英語 2.グローバリゼーション

横浜薬科大学においては、学年ごとの薬学的専門性と英語の4技能を取り入れ、効果的な薬学英語学習の修学を目標に薬学英語WGを立ち上げ、学年主任を決め、教員間での情報共有をはかりながら、講義を行っています。
薬学部における英語教育

特に、現在は新型コロナウイルス感染拡大禍にあり、世界から発信されるグローバルな健康・医療英語情報をどのように受け止め、活用するかは極めて重要です。
学生たちにはCOVID-19の語源をはじめ、WHOやCDCからの最新の情報を具体的に提示し、科学的視点から情報を収集し、患者さんへ提供することを習得することが重要です。
また、World AIDS DayやWorld No Tabacco Day(世界禁煙デー)などのトピックスなども提示しています。
学生たちには、それらの情報にその場で臨機応変にアクセスできるように携帯電話やスマートフォンを持参してもらい、医学・薬学英語としての適切な訳ができるようにしています。
 
4年次の臨床系薬学英語では、初めに薬剤師の行動理念であるPharmaceutical careや患者中心の医療に関して説明しています。
この学年では、医薬品の適正使用に必要な基礎・臨床薬理学、症例検討、EBMの基づくガイドライン、NBM、医療倫理、医薬品情報学などの複合的要素で構成され、いのちのケア教育としては渡米心移植日本人(成人と小児)へ現地医療スタッフと行った移植前後のPharmaceutical careに関する講義も行っています。

ここでは、私がユタ大学薬学部やユタ大学病院等で研修した臨床薬学プログラムを基に、症例検討では、各患者へのGoal of Treatmentを提示したり、学生たちには「What is your responsibility to this patient?」など臨床的な問いかけを行っています。
また、1年次から米国で行われているMedical Terminology(専門用語)も積極的に取り入れて、5年次の病院・薬局実習で患者情報共有に必要な疾患名、カルテ用語、検査用語等を理解できるようにしています。

毎回、readingでは、repeat after meと学生に発語してもらい、また、禁煙の重要性に関してはCADや糖尿病患者への教育資料を基にdictationも行っています。
例えば、50代の米国男性高血圧患者の症例検討では、重要なキーワードを見つけながら読解し、副作用回避のための設問に正答を見いだしていきます。

ACE阻害薬起因性の空咳のため、患者QOLを鑑み、ARBのLosartan potassiumへの変更を医師へ提案します。
また、患者さんへの医薬品情報提供においては、先ずは添付文書で確認し、くすりのしおりにアクセスし、必要な情報にマーカーを付します。
その後、英語版くすりのしおりを使用し、当該患者背景に応じた医薬品情報の加工を行い、次に、服薬指導書の英作文を行います。

その後、患者さん役と薬剤師役に分かれて服薬指導の練習、ロールプレイングへと実践的な医療コミュニケーション(傾聴・共感的態度・アサーション)を行っています。
英語版くすりのしおりは日本語版と記載内容が同列であり、理解しやすいのが特徴で、学習効果の有用性がレポート等から伺えます。

他方、トラベルファーマシーとしては、骨粗鬆治療薬を服用中の日本人女性患者さんが渡米する際、現地で英語版くすりのしおりが情報提供書としての活用できることの事例紹介をしています。
エコノミー症候群対応では、厚労省のパンフレットを基に患者さんへ提示するときは、学生たちには各自、足の動かし方をやってもらい、リラックスタイムとなっています。
また、学生たちには、東京2020オリンピック・パラリンピックでは、添付文書と同様に英語版くすりのしおりは公式な医薬品情報源であることも提示しています。

さらに5年次では、世界的に糖尿病患者が多いため、外国人糖尿患者への初回面談、作用機序に応じた服薬指導、特徴的な副作用の提示および低血糖時の対応を、英語版くすりのしおりを活用して行っています。また、災害時の対応も講義しています。
生涯教育では、東京オリンピック参加プログラム教育認証のNPO法人:医療英語学習支援機構(MELSA)にて、薬剤師をはじめ医療関係者や医療通訳者の方々を対象にセミナーを行っています

このようにグローバリゼーションの中、英語版くすりのしおりを活用した学習成果型の授業は医療現場ですぐに利用でき、実践的であると考えます。
これらの内容は社会薬学会の教育セミナーや第23回日本医薬品情報学会のシンポジウムの「外国人向けの医薬品情報提供」の中で、報告致しております。

 
  

   
◆英語版くすりのしおりに関するTOPICS◆

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