協議会が監修した『正しく知って正しく使う「くすり」の大事典』(くもん出版:2020年10月発刊)が日本ライブラリー協会の機関誌(2021年45巻4号)の書評コーナーで紹介されました。
執筆してくださったのは、埼玉県済生会栗橋病院 深谷 里子氏です。

本書は、中学生・高校生向けに身近な薬の正しい使用法、副作用、医師・薬剤師に症状を伝える際の注意点等、薬に関する様々な事柄をたくさんの図や写真を用いてわかりやすい言葉で解説した事典となっています。

医薬品の適正使用推進のため、中学生・高校生だけでなく、中高生を指導する学校薬剤師の先生方・保健体育の先生方にご活用いただければ幸いです。

La医ぶらり62
正しく知って正しく使う「くすり」の大事典
 セルフメディケーションは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義される。身体や健康について知り、薬の知識を持ち、症状をみながら必要と判断すれば受診し、受診の必要がないと思ったら自宅で静養する(市販薬を使用するなど)。コロナ禍の現在では、医療資源の保護にもつながるだろう。
 中学校(2012年から)や高校(2013年から)の保健体育の授業では「医薬品教育」が始まっている。本書は中学校や高校での「薬教育」の参考書として使用されることを想定してまとめられた。タイトルに「大事典」とあるが、リファレンスブックというより、通読することで薬そのものや関連する内容を幅広く学ぶことができる。本書を読みながら、学校でセルフメディケーションを身につけるための教育が受けられる、いまの子ども世代を羨ましく感じた。私たち大人でも、知らない、できない者も多いのではないか。
 とくに「第3章 くすりは正しく使おう」は、実践的で分かりやすい。「食前」「食後」「食間」などのタイミング、「頓服」「屯用」とはどのような薬が何のために使われるのか、剤型ごとの薬の飲み方(粉薬の飲み方や塗り薬の正しい使用量、座薬、貼り薬の使用法など)、薬の正しい入手方法(医療用医薬品を人からもらって飲まないなども)、保管方法、廃棄方法(正しい廃棄方法をご存じだろうか)などがすべて説明されている。手元に置いて、必要になった際にはすぐ手にとって確認したいし、このまま患者さんへの説明資料としても使えそうだ。
 薬にはメリットとデメリットがある。本書では副作用や薬物乱用についても併せて学ぶことができる。「ヘアカラーによるアレルギー」や、「うっかりドーピング」などについてのコラムは、読者対象とされている中高生には、きちんと説明される機会が少ないが、日常生活に影響のある大切な情報と思う。
 薬物乱用については巻末特集としてまとめられている。「ダメ、ゼッタイ」というフレーズは昭和40年代頃から使われているらしい。覚醒剤や大麻などの違法薬物をとにかく使わない、使うことは「悪」と繰り返すことには、一定の効果があったのかも知れない。しかしそれだけでは脱法ドラッグや市販薬乱用の危険性は伝わらないし、薬物乱用から依存症になった人が助けを求めにくくならないか。犯罪性を訴えるだけではなく、薬の知識を深め、効果的に使う方法やどうすれば安全に使えるか知ることこそ、薬物乱用防止につながると感じる。
 読者対象を中高生としているため、一般にも読みやすく分かりやすい。外来や患者図書室にもお勧めしたい。
(埼玉県済生会栗橋病院 深谷 里子)

 

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