10月14日に、山口県下関市で行われた第52回日本薬剤師会学術大会で、当協議会は日本薬剤師会と県民公開講座を共催しました。
「調べる・見極める・聞く」3セクションの内容を公開しました!  
 

その情報、信じていいの?
~正しい医療情報の見極め方、検索のポイントとは~

座長:吉田 力久 公益社団法人 日本薬剤師会常務理事

健康に関する情報をパソコンやスマートフォンで検索すると、無数の該当結果が表示されます。
その中で、皆さんは欲しい情報に辿り着いているでしょうか。
示された情報をそのまま鵜呑みにしていないでしょうか。
検索結果には過剰な表現や科学的根拠に基づかない情報も多く示されます。
まずは疑って情報を吟味し、情報の真偽に不安がある場合は、医師・薬剤師などの専門家に聞いてみることも重要と言えます。
今日は、「調べる・見極める・聞く」の3点について、3つの視点でお伝えします。

 

セクション1:「調べる」

最新!健康・医療情報のググり方~検索サイトの仕組みと裏側

小林球一 株式会社電通メディカルコミュニケーションズ 代表取締役社長

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調べごと=ネット検索の時代
みなさんの中で、自宅にパソコン、もしくはスマートフォンをお持ちの方はどれくらいいるでしょうか。
最新のデータによると、国内で利用されている検索エンジンは、Googleが約7割、ヤフーが約3割で、この2つを合わせると99%に達していることがわかっています。
「検索」は今では調べごとのファーストチョイスで、調べることとインターネットでの検索はイコールとなりました。
生活の中で検索サイトの便利さを感じている方は多いと思いますが、Googleもヤフーもサイトの構築にかなりの投資をしてシステムを稼働させています。
民放のテレビ局と同じような仕組みなっているため、こんな便利な仕組みが無料で使用できるのです。

検索エンジンは何故無料?
テレビコマーシャルは、企業が宣伝のために展開するもので、民放はその企業が支払う広告費で経営が成り立っています。
つまり、視聴者は広告を見ることで、無料で番組も見ることができるようになっています。
インターネットの検索サイトの運営も、これと似ており、広告を出したい企業はGoogleやヤフーに広告費を支払うことで、検索画面に広告を表示することが可能になります。
つまり、検索を無料で行うことができる代わりに、広告を見たり、興味がある場合は、そこをクリックしてさらに詳細な広告にアクセスしてもらうことになります。

ネット広告の仕組み
ヤフーを例にインターネット広告の仕組みについて簡単に紹介すると、トップ画面の大きなスペースに広告が入っていることに気付いている方もいらっしゃると思います。
広告内容に興味のある方であれば、クリックして詳細な情報に辿り着く構造になっています。
このヤフーのトップ画面は『ブランドパネル』と呼ばれており、沢山の方がこの広告をご覧になる一方で、広告費も高額となっています。

また検索結果の画面でも、検索結果で表示された情報と並列で広告も表示されることがあります。「広告」とか「PR」という表記をすることで、検索結果と並列に表示することができるのです。

情報か?広告か?
これは、『リスティング広告』または『検索連動型広告』などと呼ばれています。
例えば「骨折予防 食事」という検索ワードで検索をすると、表示された検索結果の上位5つ中4つが広告でした。
このように検索結果には、情報のように見える内容でも広告が混在していることがあります。
リスティング広告は、企業が広告を出す際に、検索エンジン側に「ある特定の文言が入力されたら、検索結果の中に広告として表示するようお願いしている」ものです。
多くの人は、検索結果を上から順にクリックする傾向があることから、なるべく上位に表示されるように企業側でいろいろな工夫が行われています。

検索サイトは賢く活用を
私が今回最も伝えたいのは、『皆さんが普段使用している検索サイトの検索結果には広告が混ざっている可能性がある。』ということです。
常に広告が表示される訳でもありませんし、ニーズによっては広告を見た方が、より早く知りたい情報に近づけることもありますが、こうした要素も踏まえて、検索サイトを賢く活用いただければと思います。

 

 

セクション2:「見極める」
医療情報を味方につけるポイント

北澤 京子 医療ジャーナリスト/京都薬科大学客員教授

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私たちはたくさんの情報に囲まれて生活しています。
情報には本から得られるものもあれば、医師・薬剤師などの専門家から入手できる情報、また家族や友人からの口コミ、メディアからの発信などがあります。
情報収集手段は先ほどのお話のようにインターネットによる検索が最も一般的でしょう。

多くの情報源がある中で、どのような情報が私たちにとって最も有用なのでしょうか。得られた情報は確かなものなのでしょうか。
情報の双方向性も大切ですし、今すぐ知りたい情報かどうかによっても違ってきます。情報を入手するために労力や費用が発生するのであれば、いくらためになる情報でも入手が困難です。
つまり、「て(適切性)」「だ(妥当性)」「そ(双方向性)」「じ(適時性)」が大きければ大きいほど、逆に「ろ(労力)」「ひ(費用)」が小さければ小さいほど、自分にとっては役に立つ情報であると考えられます。

ネットに頼り過ぎてはいけない理由
医師や薬剤師といった医療従事者から直接得られる健康情報は、適切性は高く、妥当性もあり、双方向性があります。適時性も高いですが、労力と費用は若干かかります。

では、口コミの情報はどうでしょうか。適切性や双方向性、適時性は高いですが、妥当性は友達次第かもしれません。
一方でインターネットはどうでしょうか。適切性は検索ワード次第で変化してくるでしょう。双方向性や適時性は高いと言えます。何より、労力と費用面ではとても安いことが特徴です。
インターネットの情報は、「ろ」と「ひ」が非常に小さい、つまり分母が小さいため、妥当性がなおざりになってしまう可能性があります。
これこそが、情報をインターネットに頼ってしまうことの問題点であると思います。

「いなかもち」で見極めよう
健康に関わる情報について、妥当性は大きな問題ですが、その情報の見極めにあたってどのような点に注意すれば良いのでしょうか。
聖路加国際大学が開発したヘルスリテラシー学習用eラーニング教材では『いなかもち』で健康情報を確認することが提案されています。
つ」「のために」「いた人は誰なのか」「ネタは何か」「う情報と比べたか」、それぞれの頭文字です。

なかもち=いつ
健康や医療では、以前は正しいと考えられてきた情報が現在では否定されている場合もあり得ます。
インターネットで健康に関する情報を見渡すと、いつの情報なのか記載がないサイトも多く、掲載時期の確認は大切です。
また注意したいのは「今年」や「去年」といった主観的な表現です。

かもち=何のために
健康や医療について正しく適切な情報をより多くの人に伝えたいという意思で書かれているものが大半だと思いますが、中にはそうでない場合もあります。
ネットにはこうした情報が混在していて、一般生活者にはなかなか区別しにくいのです。紙の情報であれば、広告かどうか見分けやすいのですが、インターネットでは判別が難しくなっています。

いなもち=書いたのは誰なのか
書いた人が明確にわかる場合もあれば、そうでないこともあります。組織・団体などであれば、連絡先が記載されているかもチェック項目です。

いなかち=元ネタは何か
元ネタとは言い換えれば「根拠」であり、英語では「エビデンス」です。
医療の世界においては、1990年代からエビデンス・ベースド・メディスンが標準的な考え方となっており、個々に応じた医療を提供するため、最新最良のエビデンスを、良心的に、明確に且つ思慮深く用いることが示されています。
健康や医療に関する情報では、その根拠は非常に大切です。単なる印象もあれば、複数の根拠を検証してまとめている場合もありますが、インターネットでは根拠がわかりにくいのが現状です。印象を基にした内容は、その人にとっては確かな経験かも知れませんが、全ての人に当てはまるとは言えません。
また複数の検証結果をまとめていても、それが未来永劫正しい情報とは限りません。残念ながらインターネットで検索した情報は、元ネタまでたどり着くことは難しいことも多いのです。

いなかも=違う情報と比べたか
インターネットならではの特性として、「違う情報との比較」に優れている点があります。ある健康に良いとされている素材を調べる際、その真偽を複数のサイトで比較検討することが可能です。言い方を変えれば、違う価値観で情報を精査することの重要性です。

繰り返しになりますが、今回伝えたい言葉は『いなかもち』」です。更に勉強したい方は、情報のチェック方法などが紹介されている統合医療情報発信サイトも参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

セクション3:「聞く」
『この薬、飲んだら危ない』の悩み、薬剤師が解決します

堀越 博一 公益社団法人日本薬剤師会 常務理事

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週刊誌に溢れる健康・医療特集
最近、週刊誌などで医療に関するセンセーショナルな見出しが踊っていることをご存知でしょうか。
その背景には、雑誌がこの4年ほどで売上げを大きく減少させていることが挙げられます。
紙媒体を読まれる方は、比較的年齢が高めであることがわかっている中、ある有名雑誌は健康や医療に大変注力をしていて、他の雑誌もある程度こうした流れに乗るかたちで健康・医療特集を組んでいる側面があります。

書籍や電車の中吊り広告で「高齢者が飲むと危ない薬△△種」、「医師が飲まない処方薬、一般用医薬品大辞典」「医師からすすめられても止めた方が良い手術」など、現在進行形で病院に通っている方は不安になるのではないでしょうか。

メリットとデメリットのバランスが医療
さて、ここである物質を紹介します。

様々な飲料に含まれている「DHMO」は、酸性雨の主成分であり、高濃度のDHMOは植物の成長を阻害する危険な成分であることは皆さんも十分承知かと思いますが、この物質はなんでしょう?
(答えは本文最後に記載)

医療は100か0か、白か黒かというような視点はそぐいません。

「飲んだら危ない」といった極端な結果を出すような行為は医療ではありません。
患者さんが治療を受けた時のベネフィット-利益である「効果」と、リスク-不利益である「副作用」などの中庸に医療という行為は存在しています。

副作用とは
そもそも、副作用とはどのような状態でしょうか。

薬が狙う目的の効果が主作用と呼ばれ、主作用以外の反応は全て副作用と呼ばれます。
ですから、例えば薬を服用した後に松田優作のようにカッコ良くなったとしても、もしそれが松田優作になる薬ではなく、本当は血圧を下げる薬であったとすればそれは副作用です。

また、薬の歴史の中には、こうした副作用を逆手にとって、主作用として製品化された薬も存在しています。
要するにメリット・デメリットのバランスをみて、メリットが感じられるのであれば、多少のデメリットには目をつむって治療を進める、これが医療です。

治療はガイドラインに則って行われる
科学的根拠であるエビデンスに基づいて治療は行われています。
近年、治療はガイドラインに則って行われるのが基本で、受診から検査、診断し治療に臨むという全ての行為がガイドラインである程度定められており、患者さんと医療者の意思決定を支援します。全国どこでも均一化した医療を受けられるのは、こうしたガイドラインが基準となっていることによるものです。

副作用のない薬はない
医療用の貼付剤の中には、光線過敏症を引き起こすものがあります。光線過敏症を一度でも発症した方は、その医薬品を使用することができないとされています。
この貼付剤の添付文書には、光線過敏症の発生頻度は不明との記載があります。基本的に副作用のない医薬品は存在しないと考えてよいでしょう。

先ほどの医療用の貼付剤は鎮痛消炎剤なのですが、その成分であるケトプロフェンが光線過敏症を引き起こす原因にもなっています。
ただ、この成分だけで光線過敏症になる訳でもありません。自然界にあるセロリ、クロレラ、ドクダミなどが含まれる化粧水などでも起こる可能性があります。
医薬品で何かが起きるということは、自然界の物質でも何らかのトラブルが生じる可能性があるわけです。
また植物でアレルギー反応を起こす方がいることから、自然界にあるものでも害を与える可能性があることも併せて知っておくと良いでしょう。

すぐに受け止めない
少し前に、光線過敏症の副作用を発症し、医師から一生治らないと言われたとブログで発信した方がいました。肌の一部に貼ったのち、別の部位にも貼付しそのような診断を下された訳ですが、ブログのタイトルもセンセーショナルだったためSNSで話題となりました。

このとき、なぜ医師や薬剤師に早めに相談しなかったのかといった意見や、ブログを執筆した方を非難するような書き込みも目立ちました。

重要なのは、このようなブログの記事をすぐに私事と感じ取るのではなく、専門家に尋ねることが大切であると言えます。安易に自己判断するのではなく、用法・用量を正しく指示された通りに使用することが重要です。
もし副作用が指示通りに使用したうえで出ているのであれば大問題で、健康被害が生じたわけですから医薬品副作用被害救済制度の対象になります。
万が一のため、安心安全に医薬品を使用していただくための支援体制を国は整えていますから、ぜひ知っておくと良いと思います。

副作用は、医薬品成分によってもたらされる場合もあれば、身体の不調により引き起こされる場合もあります。また薬と薬の飲み合わせによって強く作用し過ぎて副作用が出ることもあります。
さらに副作用が発現しても、すぐに医薬品の服用を止めない方が良い場合もあります。緩やかに体内の成分量を減らしていかないとさらに酷い反応となってしまうことがあり得るからです。
こうした判断は一般の方にはまず不可能なため、しっかりと専門家の判断を仰ぐことをお勧めします。

おくすり手帳で自己防衛
自分を守る意味でも、おくすり手帳を所持して活用することが大切です。
単にシールを貼るためだけのノートではありませんし、病院・薬局ごとに複数持っていても意味がありません。
薬局で発行されたシールを貼り、病院で受けた検査の数値を書き込んでも結構です。薬の服用に関するメモ欄もあるので、本人しか気付かない微妙な体調の揺らぎを書き残しておくことは自己防衛にもなりますし、医師・薬剤師に相談するためのきっかけとなります。
過去に副作用を発現したことのある方は、些細な変化でも書き残しておきましょう。
サプリメントや健康食品を摂っているなどの情報を書き加えておくことも、薬に影響を与える成分を避けるために大切です。

自ら治療に参加を

薬局で「とにかく薬だけ早くください」と宣言する方はまだまだ多くみかけます。
しかし、副作用が絶対に出ない人はいません。

今回みなさんに提案したいのは、医療関係者の意見をただ単に聞くのではなく、自分も治療に参加してみてはどうかということです。

「ささえあい医療人権センターCOML」の山口 育子理事長は、「あなたが“いのちの主人公・からだの責任者」であることを提案し、「医者にかかる10箇条」を掲げています。
患者さんの立場では難しい部分もあるかもしれませんが、まずは医師に言いたいことをしっかりと伝えることは重要です。

それから、薬局で薬を受け取る際、薬剤師からの質問に答えるだけではもったいないと感じます。
今の健康状態やかかっている病院、サプリメントの使用状況など、どんどん質問していただき、自分の身を守るために医療に参加する姿勢を持っていただくことが大切なのではないでしょうか。

少し前に触れたDHMO。その正体は「水」です。

飲料や酸性雨の主な成分であり、植物に多くやり過ぎれば枯れてしまいます。このように水をリスクに特化した表現で説明すると、全く違う物質のように感じるのではないでしょうか。情報に接した際には、まずは疑ってみる、偏った情報でないかと推測してみることが大切と考えます。そして我々専門家も不安を取り除くためのお手伝いをさせていただきたいと思っています。

ぜひ、あなたにとって信頼できる医療関係者、薬剤師を見つけてください。
また、薬剤師らの質問に答え、説明を聞くだけでなく、自ら尋ねることも大切なことではないでしょうか。
そのような医療を実現することで、より良い医療環境が広がっていくことを願っています。

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